津軽半島を一周して考えた、「開いているのに入れないお店」の話

先日、青森に行ってきました。これで日本で行ったことがない県は、三重・岐阜・長野の3つだけになりました。

今回は、レンタカーで津軽半島をぐるっと一周しました。そこで見た景色と、夜の青森の街で入ったお店のことが、長崎に帰ってからもずっと頭に残っています。お店をやっている人、これからお店を開く人に、少しでもヒントになればと思って書きます。

お昼ごはんのつもりが、お店がない

お昼の12時ごろに出発して、青森駅のあたりに戻ってきたのが17時半ごろ。「行った先で何か食べればいいか」くらいの気持ちで出たのですが、これが甘かったです。

とにかく、食べるお店がありません。チェーン店はひとつも見かけず、一周するあいだに見たコンビニは4軒ほど。セブンイレブンはなく、ほとんどがファミリーマートで、最後の最後にローソンを1軒見かけたくらいです。ガソリンスタンドも、本当に少なかった。地元のスーパーは営業していましたが、立ち寄ろうと思っていた道の駅は、その日は休みでした。

海沿いの道を走っていると、ところどころに漁村が現れます。屋根が崩れ落ちた家、今にも倒れそうな家がたくさんある一方で、建ててまだ何年もたっていないようなきれいな家も並んでいる。海側には、漁業の会社や作業小屋のような建物がずらっと並んでいました。歩いている人とは、ほとんどすれ違いません。

もうひとつ驚いたのが、海の荒々しさです。新潟や秋田に行ったときにも感じましたが、日本海の海は九州の海と比べものにならないくらい荒く、正直、怖いと感じました。今回は10月だったのでよかったものの、これで雪が降ったらどうなるんだろう、と思いながら走っていました。

開いていたのに、入れなかったラーメン屋さん

途中、高野崎(たかのざき)という岬に寄りました。展望できる場所があって、近くにラーメン屋さんが1軒ありました。

お腹も空いていたので入ろうとしたのですが、中をのぞくと、お客さんがひとりもいません。それどころか、お店の人が客席で寝ていました。

お店は開いていたんです。でも、これはちょっと入れないな、と思って、そのまま通り過ぎました。

あとから考えると、ほかにお客さんが1組でも入っていたら、たぶん入っていました。お客さんがいない時間に休むのは当たり前のことです。でも、初めて来た人から見ると、「やっているのかどうか、わからないお店」に見えてしまう。人の少ない場所でお店をやる難しさを、いちばん感じた場面でした。

夜の青森で、知らないお店に入るまで

夜は、青森の繁華街に行ってみました。まず感じたのは、お店が少ないということ。長崎市の中心部の賑わいを想像していると、ずいぶん静かに感じます。

夜のお店が並ぶ通りには、客引きの人がたくさん立っていました。でも、歩いている人がほとんどいない。歩いている人より、客引きの人のほうが多いんじゃないかと思うくらいでした。

客引きの人に話しかけて、おすすめを聞いたりもしましたが、最後は歩きながら「地元のお店っぽいところ」を探して入りました。決め手は、お店の前で開いたGoogleマップです。調べてみると、どうやらかなりの人気店。入れるかどうかわからないまま扉を開けてみると、「お一人なら大丈夫ですよ」。

生の舞茸の天ぷらに、大間のマグロの目玉の焼き物。長崎ではなかなか食べないものばかりで、どれもおいしかったです。お刺身は、長崎も負けていません。同じくらいおいしかったです。

そのあと、勇気を出してスナックにも1軒入ってみました。扉を開けると、カランコロン。お店の人も「あれ?」という顔をしていましたが、完全なよそ者の私を迎え入れてくれました。両隣の常連さんは、どちらも元自衛隊の方。長崎にも佐世保に基地がありますが、青森も国防の大事な拠点なんですよね。そんな話で、すっかり盛り上がりました。勇気を出して入って、本当によかったです。

帰ってきて調べたら、違いは人口ではなかった

津軽半島を走りながら、「ものすごく田舎だな」「人が少ないな」と感じていました。それが気になって、長崎に帰ってから調べてみたら、意外な結果でした。

青森県と長崎県(2025年国勢調査・速報値)

  • 人口:青森県 約114万人、長崎県 約123万人
  • 面積:青森県 9,645km²、長崎県 4,131km²(青森は長崎の約2.3倍)
  • 1km²あたりの人口:青森県 約118人、長崎県 約298人

出典:総務省統計局「令和7年国勢調査 人口速報集計」

人口は、長崎のほうが少し多いくらいで、そこまで変わりません。違うのは面積です。同じ広さの中にいる人の数は、長崎が青森の約2.5倍。離島を含めても長崎は狭い県なので、そこに青森と同じくらいの人が住んでいれば、人が少なく感じないのは当たり前なんですよね。

こう考えると、津軽半島でお店をやるのは生半可なことではありません。車がなければ生活できないのは九州も同じですが、お客さんになる人の数そのものが、まわりにいないのです。

長崎のお店に置き換えると

長崎は、青森に比べれば人の多い県です。それでも、離島や半島、平日の昼間など、人が少ない場所や時間はあります。人が少ないほど、目の前のひとりが入ってくれるかどうかが大事になります。今回の旅で、お客さんの立場から感じたことを3つにまとめます。

1. 暇な時間こそ、「やっている店」に見えるように

ラーメン屋さんに入れなかったのは、ほかにお客さんがいなかったからです。お客さんがいない時間は、外からは「やっていないかもしれない」に見えます。休憩は見えない場所でとる、店先の明かりやのれんを出しておく、外にメニューと値段を出しておく。それだけでも、入りやすさはずいぶん変わります。

2. 初めての人は、お店の前でGoogleマップを見ている

居酒屋に入れたのは、お店の前でGoogleマップを見て「人気のお店だ」とわかったからです。初めての土地では、みんな同じことをしています。Googleマップに出るお店の情報(Googleビジネスプロフィール)の写真、営業時間、口コミへの返信は、お店の前に立った人の背中を押してくれます。臨時休業や営業時間の変更も、こまめに反映しておきたいところです。

3. 初めてのお客さんが、ひと言聞きやすい入口に

居酒屋もスナックも、扉を開けたら受け入れてもらえました。でも、扉を開けるまでがいちばん勇気がいります。「お一人さまも歓迎」「初めての方もどうぞ」のひと言が店先にあるだけで、よそから来た人も地元の人も、扉を開けやすくなると思います。

「うちのお店、外からどう見えているかな?」と思ったら

Googleマップに出るお店の情報の整え方から、店先の見せ方、集客の方法まで、一緒に考えます。まずは、いま困っていることをそのまま聞かせてください。ご相談は無料です。

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書いた人:吉谷 浩希(フーム代表)

システムエンジニア、法人営業、飲食店の経営を経て、長崎の事業者お困りごと窓口をしています。プロフィール

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